井戸で鳴く黄金色のにわとり


 井戸で鳴く黄金色のにわとり23


「こんなところに、姫がいるぞー」
兵士の声がしました。
姫は、これ以上逃げることはでき
ないと思いました。



「おとうさま。もう逃げることは
できません。
私は、敵につかまりたくありません。
だから、にわとりと一緒に、井戸に
とびこみます。



おとうさま、おかあさま。
今まで大切に育てていただきありが
とうございました。
おとうさまたちと過ごした日々、と
ても楽しかった。
いろいろありがとうございました」
姫は、父と母にお礼をいいました。



「こっこ。守ってあげられなくて、
ごめんね。
私は、大好きなこっこと一緒だから
こわくないわ」
そういうと、姫は、井戸へとびこみ
ました。
「ぽちゃーん」
井戸の中から、大きな音がしました。


             つづく



   昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100201#p1



   初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100111#p1



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」は、
信州の伊那谷にあった「大島城」に
伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。