井戸で鳴く黄金色のにわとり22
「姫さま。私たちが、最後まで姫
さまをお守りいたします。
だから、あきらめずに甲斐へもど
りましょう」
おつきの人たちが、口々にいいま
した。
姫は、おつきの人たちと一緒に、
暗闇の中を逃げまわりました。
あちこち逃げまわっているうちに、
姫は、みんなとはぐれてしまいま
した。
「姫さまー」
「姫さまー。どこにいるのー」
遠くから、おつきの人たちの声が聞
こえてきます。
でも、声をあげるわけにはいきません。
姫は、城の端の断崖までおいつめら
れてしまいました。
近くに、深い井戸があります。
姫は、しばらく井戸の囲みの中にか
くれていました。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100131#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100111#p1
「井戸で鳴く黄金色のにわとり」は、
信州の伊那谷にあった「大島城」に
伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。