鹿になった観音さま


  鹿になった観音さま14


「観音さま。身の危険を感じたと
いえ、観音さまの化身である鹿に、
わしは矢をむけてしまいました。
どうか、このわしを許してください。
わしは、今日まで、たくさんの鹿
を殺しました。



なんて罪深いことをしていたので
しょう。
今日限り、鹿狩りをやめます。
そして、弓をひくこともやめます。
観音さま、どうかわしを許してく
ださい」
三郎は、観音さまに、何度も許し
をこいました。



「さあ、三郎さ。石になってしまっ
たタケルとチハヤを、迎えにいこう」
二人は、裏山へ登って行きました。
「和尚さま、ここです」


             つづく



     昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100219#p1



     初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100207#p1



「鹿になった観音さま」は、信州の伊
那谷にある「立石寺」に伝わっている
話をヒントにして、みほようこが書い
たもの。