古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」


古事記神話「古事記物語」119


海彦山彦 3
      

ところが・・・。
何時間たっても、一匹も魚がつれません。
簡単に魚がつれると思っていた山彦は、がっかり
しました。
その上、兄が大切にしているつり針をなくしてし
まったのです。
「どうしよう。あのつり針は、兄さんが大切にし
ているもの。おこるだろうな」
山彦は、しょんぼりして家に帰りました。


海彦も、一日中、山の中を歩きまわりましたが、
一匹も獲物をとることができませんでした。
「山彦。おれのつり道具を返してくれ」
「兄さん、ごめん。つり針をなくしてしまった」
「何、つり針をなくしたと。あのつり針は、おれ
が一番大切にしているものだ。許さん。明日、海
へ行って、つり針をさがしてこい」
海彦が大声で怒りました。


          つづく