古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」


古事記神話「古事記物語」134


塩満珠と塩乾珠 1


「兄さん。ただいま」
「山彦、どこへ行っていたのだ」
「兄さんのつり針を探していました。やっと
つり針がみつかりました」
「ほんとうか」
「はい」


「兄さん。つり針を返すので、後を向いてく
ださい」
「なぜ後を向くのだ」
海彦は、しぶしぶ後を向きました。
「このつり針は、ぼんやりの針・猛り狂う針・
貧しい針・役立たずの針」
山彦は小声でつぶやきながら、海彦につり針
を渡しました。


        つづく