古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」


古事記神話「古事記物語」133


豊玉比売 10


「じゃあ、おまえが、山彦を送ってあげなさ
い。海原の真ん中を渡る時には、恐ろしい思
いをさせないように気をつけて送ってあげな
さい」
海の神は、鰐の背中に山彦をのせ見送りました。


その鰐は、約束通り、一日で山彦を地上の国
へ送りました。
鰐が帰ろうとした時、山彦は身につけていた
紐つきの懐剣をほどき、鰐の背中に結びつけ
ました。
「鰐よ、ありがとう。気をつけて帰るのだよ」
山彦は、鰐の姿が見えなくなるまで、鰐を見
送りました。
山彦を送った一尋鰐は、後に「佐比持神」と
いわれるようになりました。


         つづく