女神さまとの約束

[童話]女神さまとの約束


    女神さまとの約束 39


病人の食事は、白駒が運んでくれます。
症状にあわせ、おかゆなどを届けてくれました。
ふくの食事は、小さな赤い木の実だけ。
その木の実を、一つ口にすると、なぜかおなかがい
っぱいになりました。
「白駒。これ、なんの木の実?」
「女神さまも、毎日この木の実を食べていますよ。で
も、名前はしりません」
白駒も、木の実の名前を知らないようでした。
 

それから、十年がすぎました。
硫黄岳の生活は、夏は涼しく快適でした。
夏の間は、白駒の背に乗って、硫黄岳を散歩します。
ふくは、コマクサやウルップソウなどの花をみるのを、
楽しみにしていました。
でも、冬は寒さがきびしく、雪が何メートルも積もります。
雪は、六月末までとけません。


             つづく





童話「女神さまとの約束」は、みほようこの五冊目の
童話集「竜の姿をみた少女」に収録されています。

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