明けの明星・金星


朝六時。
伊那谷の朝は、寒い。
あたりはまだ薄暗い。



カーテンを開けると、南アルプスの山
々が、影絵のように真っ黒にみえた。 
空は薄い空色。
東の空には、金星がきらきら輝いてい
た。 明けの明星とか、宵の明星とか呼
ばれている星だ。
美しい・・・のひとこと。
こんな景色をみると、伊那谷に住んで
いて良かったと、つくづく思う。



六時半頃になると、金星も見えなくな
る。 そして、庭ですずめがなきだす。



朝七時、どんなに寒くても、家中の窓
を開ける。
清々しい空気が、家の中に入ってくる。
神棚と仏壇に手を合わせ、今日一日無
事で過ごせますように・・・とお願い
する。 こうして一日が始まる。