「ふしぎな鈴」小桜姫とふしぎな鈴の章

ふしぎな鈴は、みほようこの三冊目の童話。 
昨年九月、http://www.choeisha.com/
から、発行されました。





  
「花のほほえみ」より 小桜姫がすきな桜の花

   



「ふしぎな鈴」の前半で、小桜姫さまに登場し
ていただきました。 小桜姫さまといえば、浅
野和三郎著「小桜姫物語」にでてくるかたです。


今日は、「ふしぎな鈴」の中の「小桜姫とふし
ぎな鈴」の章を紹介します。



   「小桜姫とふしぎな鈴」の章


http://www.geocities.jp/dowakan/husigikozakura1.html


   このつづきを、もう少し紹介しましょう。
    

「その鈴はね、桜の花びらの…鈴でね」
「みんな聞いた?桜の花びらの鈴…ですって」
「その鈴を…靜かにリーン・リーン・リーン…と
何回かふると、私たちのような花や小鳥と…お話
することができるんですって」
「それ、本当なの?」
「本当よ。私…あるかたから…聞いたのだから。
でもね、…本当に優しい心を持っている時しか…
話ができないそうよ」
「私たちも…一度…小桜姫さまと…お話がしたい
わね」
とぎれとぎれでしたが、桜の花がこんなおしゃべ
りをしていたのです。


次の日。
姫は桜の木の下へ行き、静かに鈴をふってみました。
「リーン・リーン・リーン…」
澄んだ音色が、あたりにひびきわたります。
「昨日、桜の花が話していたことは、本当かしら?」
そう思いながら、姫は桜の花に話しかけてみました。             
「こんにちは」
「……」
「私、小桜よ」
「……」
聞こえなかったのかしらと思い、姫はもう一度鈴を
ふり、桜の花にゆっくり話しかけました。
でも、桜の花は何も答えません。



 姫は何度も何度も鈴をふり、桜の花に話しかけま
した。
「こんにちは。私、小桜よ」
「……?」
「はじめまして。私、小桜です」
「……小桜?」
桜の花がとまどっている様子が、姫にもわかりました。
「桜さん、聞こえます?」
姫は、何度も桜の花に話しかけました。



すると、しばらくして。
「はじめ……まして……小桜姫さま。こんなに早く…
..姫さまと……お話ができるなんて……うれしいわ」
「私もうれしいわ」
「でも……姫さま、せっかく……お話ができるように
なったのに、……もうすぐ……お別れしなくてはなら
ないの……残念だわ」
「なぜ?」
「私たち……もうすぐ……ちってしまうの」
「でも、また会えるでしょ?」
「ええ、姫さま。来年……また会いましょうね。この
鈴のことは……だれにも……ないしょよ。……姫のお
とうさまにも……ね」



とぎれとぎれでしたが、姫は桜の花とお話することが
できました。
「この鈴を七回ふると、花とお話をすることができる
のね。なんて不思議な鈴なのかしら」
姫はそっとつぶやきました。
こうして、姫は花や小鳥たちと、お話をすることがで
きるようになりました。お話ができるだけでなく、姫
のまわりにいる人々の気持や、小鳥や花の気持が、よ
くわかるようになりました。

年頃になった姫は、はっとするほど美しい娘になりま
した。姿が美しいだけでなく、姫は心の優しい人でした。

    
     つづく



ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

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