童話「風の神様からのおくりもの」

童話「風の神様からのおくりもの」の中にでて
くる、「黄金色のまゆ玉」とは?



「そうそう、かんじんなことを、いい忘れると
ころじゃった。 実は、わしが大切にしている例
のまゆ玉を、女の子においてきたので、そのつ
もりでな」
「風の神さま、例の黄金色のまゆ玉でございま
すか。そんな大切なまゆ玉をあの子に・・・・・・。
風の神さま、本当にあの子がまゆ玉をいただいて
よろしいのでしょうか」



「いいんじゃよ。あの子が幸せになってくれれば・・・・・・。
わしはそれでうれしいのじゃ。それより、あの子が
苦しみに負けず、自分の使命をまっとうしてくれる
といいがのー」
風の神さまが縁側においてきたまゆ玉は、どうも普
通のまゆ玉ではないようです。


風の神さまは、守屋山でかいこをかっていました。
かいこからは、毎年沢山のまゆ玉がとれました。真っ
白いまゆ玉です。
風の神さまが住んでおられる守屋山には、こんないい
つたえがありました。
守屋山では、四百年に一度、それもたったひとつだけ、
黄金色に輝く小さなまゆ玉がとれるといわれています。
この地方に住んでいる人々のやさしい気持が、黄金色
のまゆ玉になるのだそうです。



風の神さまは、四百年にひとつだけとれる黄金色のま
ゆ玉を、とても大切にしておりました。
そのまゆ玉は、たとえ風の神さまがもうひとつほしい
と思っても、なかなか手にはいらない貴重なまゆ玉だ
ったのです。



とくにこのごろは、人々にやさしさがなくなり、
「自分さえよければ、他人はどうなってもよい」とい
う人がほとんどです。
だから、二千年くらいたたないと、黄金色のまゆ玉は
手にはいらなかったのです。
黄金色のまゆ玉は、この地方に住んでいる人々のやさ
しさをしめす、鏡のようなものでした。



「風の神様からのおくりもの」は、みほようこの初め
ての童話集・「風の神様からのおくりもの」に収録さ
れています。



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話




今、別館の「ほほえみ」で、童話「黄金色の
まゆ玉」を、連載しています。


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