お月さまの耳かざり


    お月さまの耳かざり


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つづきをもう少し紹介します。



「かな、耳かざりをあげよう。この星の耳か
ざりをつけるとね、どんな願い事でもかなう
のだよ。ただし一回きりだけれどね」
その声は、どこかで聞いたことがあるような
なつかしい声でした。



「誰だろう?」
あたりをみまわしましたが、誰もいません。
空をみあげると、お月さまがにっこり笑って
いました。
「あっ」
お月さまの耳についていた星が、かなの耳を
めがけて、するするっとおりてきました。
そして、かなの耳にぴたっとつきました。
「なんてすてきな耳かざりだろう。うれしい
なぁ。お月さま、ありがとう」
かなはお月さまに、何度もお礼をいいました。



かなとりゅうは、いそいで家に帰りました。
かあちゃんかあちゃん。大変、大変」
かなは、病気でねているおかあさんの所へ、
とんで行きました。
「かな、すてきな耳かざりね。どなたにいた
だいたの」
おかあさんはかなに聞きました。
「散歩の途中でね、お月さまから耳かざりを
もらったの」
かなは答えました。




おかあさんは、乳にがんができて、この間手
術をしたばかりでした。おかあさんは乳を切
ってしまったので、手が上にあがりません。
ふっくらしていたおかあさんの顔が、日毎に
やせていくのをみて、かなは心配でたまりま
せんでした。




「そうだ、この星の耳かざりを、かあちゃん
にあげよう。そうすれば、かあちゃんの病気
もきっとよくなるにちがいない」
かなはそう思いました。
そして、おかあさんの耳に、星の耳かざりを
つけてあげました。
すると、おかあさんのほおが、ほんのり赤く
なりました。




次の朝、かなが目をさますと、おかあさんが
朝ごはんのしたくをしていました。
かあちゃん、おきて大丈夫?」
「かな、大丈夫だよ。かなに耳かざりをつけ
てもらったら、なんだか元気になったみたい」
おかあさんはうれしそうでした。




その夜、かなはお月さまをみました。お月さま
の顔は、昨夜よりふっくらしていました。
「お月さま、お月さまからいただいた耳かざり
のおかげで、かあちゃんは少し元気になりまし
た。本当にありがとうございました」
かなはお月さまにむかって、何度もお礼をいい
ました。
「かな、おかあさんが元気になって、本当によ
かったね」
お月さまがにっこりわらいながらいいました。



童話「お月さまの耳かざり」は、みほようこ
三冊目の本・「ふしぎな鈴」に収録されていま
す。



ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

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