竜神になった三郎


   竜神になった三郎 2


「三郎や、これがわらびだ。ほら、ここにもあそ
こにもあるぞ」
枯れ草の中に、わらびがかわいい芽をだしています。
三郎は、夢中でわらびをとりました。
「三郎、たらの芽だ。とげがあるから、気をつけろ」
兄たちは、春の山の幸を、三郎に教えてくれます。



秋になると、三人は山へ栗やきのこなどをとりに行
きます。
「でけえ栗が落ちているぞー。三郎、こっちへきて
拾えや」
次郎が、大声で三郎をよんでいます。
「おっ、あけびだ。じゅくしていてうめえぞー」
太郎は、するすると木にのぼり、三郎にあけびをと
ってくれます。
そして食べ方を教えてくれました。



「三郎ー、でけえまつたけをみつけたぞー。
早くこっちへこーい」
太郎と次郎は、山の幸をとることが、とても上手で
した。
三郎も兄たちに教えてもらい、山の幸をとることが
楽しみになりました。



十数年がすぎました。
大人になった兄たちは、それぞれに妻をめとり、平
凡に暮らしています。
三郎も、二十四才になりました。
りりしい青年になった三郎は、村の娘たちから「三
郎さ、三郎さ」と、したわれています。



「わし、三郎さの嫁さんになりたいな」
「私もよ。だって、三郎さって、やさしいんだもん」
「だめよ。おらがなるんだから」
村の娘たちは、三郎が大好きでした。
三郎は、年寄りからも「三郎さ、三郎さ」と、たより
にされていました。


       つづく



竜神になった三郎」は、2004年4月、七年に
一度おこなわれる諏訪大社御柱祭にあわせて
http://www.choeisha.com/
から、発行されました。








   あなたは、信じていた人にうらぎられた時、
   どうしますか?




竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)