竜神になった三郎 20
「太郎兄さーん、助けてぇ」
「次郎兄さーん、助けてくれー」
三郎は、ひっしで兄たちに助け
を求めました。
しかし・・・。
兄たちはさっさと舟をこぎ、三郎を
みすてていってしまいます。
「なぜだ」
あんなにかわいがってくれた兄たち
が、なぜこんなひどいことをするの
か、三郎にはわかりませんでした。
三郎の頭の中には、兄たちとの楽し
かった思い出が、次々と浮かびました。
山でわらびやたらの芽、あけびや栗を
取ったことが、昨日のことのようにな
つかしく思い出されました。
つづく