竜の姿をみた少女4
「とうちゃん。三郎は、なぜ竜になってしまった
の?」
「なぜだろうね。三郎は、長い間地の国で暮らし
ていたからだとか、鹿のきもで作ったもちを千枚
も食べたからだとか、いろいろいわれているけれ
ど、理由はわからないね」
「竜って、どんな姿をしているの?」
「さあ、どんな姿をしているのだろうね。とうちゃ
も、絵でしかみたことがないからわからない。今夜、
竜の絵をみせてあげよう」
かなとおとうさんは、湖のほとりで、ときどき竜の
話をしました。
「竜になった三郎」の話を聞いたかなは、「しらかば
湖に竜が住んでいるといいな」と思うようになりま
した。
「竜? そんなもの、いるはずないよ」
「村に伝わっている大昔の話だろ」
「この世に、竜なんているはずないじゃん」
「かなちゃん。湖に竜が住んでいると思っているの?
ばっかみたい」
友だちは、みんなそういいます。
つづく
「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集・「竜神になった三郎」の続編。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 単行本
- クリック: 45回
- この商品を含むブログ (472件) を見る
湖につき落とされた三郎が、地の神に
助けられ、心のやさしさゆえに、竜神
となる表題作ほか、守屋山の明神様に
まつわる、福寿草と少女の話を収録。
信州諏訪の風の神様から聞いた話をま
とめた第2弾。
収録されている童話
・ 竜神になった三郎
・ 福寿草になった少女