女神さまとの約束


女神さまとの約束25


「昨日?ここへ」
「そうですよ。白い馬に乗って、ここへきたのです」
「白い馬? わしは、何にもおぼえておらん」
おじいさんは、何もおぼえていないようでした。
ふくは、おじいさんの体を、黄金色の花びらでさすっ
てあげました。
「一日も早く、おじいさんが元気になれますように」
と心の中で祈りながら。



おじいさんは、たてしな山のふもとに住んでいるとか。
七十才くらいの人のよさそうなおじいさんでした。
少し良くなったおじいさんは、こどものころの話をい
ろいろしてくれました。
おじいさんが歩けるようになると、岩場のまわりを二
人で散歩しました。
「朝日がきれいじゃのう」
「夕日に染まった山、きれいね」
おじいさんとふくは、遠くの山をみながら、いろいろ
な話をしました。



 一ヵ月後。
「ふくちゃん。ありがとう。ふくちゃんのおかげで、
わしはこんなに元気になれた。ここでの生活は、と
ても楽しかったよ」


つづく