よくばりな犬


  よくばりな犬2


黒い犬は、最後のひとかけらの肉を口に
くわえると、家にむかって歩きはじめま
した。
途中、川がありました。その川には、丸
太でできた橋がかかっています。
昨夜雨が降ったせいか、川の水の量がふ
えていました。



黒い犬は、肉をくわえたまま、丸太の橋
をわたり始めました。
橋の真ん中あたりにきた時、黒い犬は川
の中をのぞいてみました。
すると・・・。
川の中に、うまそうな肉をくわえた黒い
犬がたっています。



「あの犬、おれより大きなしかもうまそ
うな肉をくわえている。よーし、あの肉
もおれがちょうだいするぞ。今日はなん
てついているのだろう」
そう思っただけで、黒い犬はよだれがた
れてきそうでした。



黒い犬は、自分が口に肉をくわえている
ことなどすっかりわすれ、大きな声でほ
えました。
「ワン!!」と。
そのとたん、口にくわえていた肉は「ぽ
とーん」と音をたて川の中におちてしま
いました。
そして、肉は川しもの方へ流れていって
しまいました。



「あーあ、うまい肉だったのにな・・・。
なんてばかなことをしたのだろう」
黒い犬は、流れていく肉をみながら、深い
ためいきをつきました。


そして、黒い犬は、とぼとぼと山深い自分
の家へ帰っていきました。


      おわり


この話は、「童話の作り方」を指導してい
ただいた時に、リライトとしてかいたもの。