きよと清太と、そして白駒


きよと清太と、そして白駒27


「ああ、おぼえているよ。美しい花だった
から、よくおぼえている」
二人は、白駒の背にのり、ゆうすげの花が
咲いていた場所へ走っていきました。
「きよちゃん、ここだよ」
「あら?」
「きよちゃん。何?」



「まだ、つぼみがかたいのね。今夜、花が
咲くかしら」
きよが心配そうにいいました。
「だいじょうぶ。きっと花が咲くよ」
清太はいいました。
でも、「ほんとうに花が咲くだろうか」と、
清太は不安でした。




「どうか、美しい花が咲きますように」
清太は、心の中で神様にお願いしました。
「ゆうすげって、日光きすげのように、群
落にはならないのかしら」
「そういえば、あっちに一本、こっちに一
本という感じだね。じゃあ、ここで暗くな
るのを待とう。


             つづく