きよと清太と、そして白駒29
しばらくして、きよがあらたまった口調でいい
ました。
「清太さん。私、今、縁談の話があるの。ほら、
清太さんも知っている小諸の次郎さん。次郎さ
んと、所帯をもったらどうかといわれているの。
次郎さんはね、とうちゃんの姉の二番目のこども。
うちへ養子にきてもいいといっているらしいの」
「おれ、長者のお使いで、何度も次郎さんの家
へいった。おばさまもいいかただし、次郎さん
もやさしそうだし、いい話だと思うけれどね」
「たしかに、次郎さんはやさしい人だわ。でも
・・・次郎さんって、小さな時から、おじさま
やおばさまのいうままなの。だから、うちへき
ても、とうちゃんのいうままだと思うわ。
私、人のいいなりになっている次郎さんを、ど
うしても好きになれないの」
「次郎さんの家は、長者の家柄だし、お金もち
だし、やさしいし、きよちゃんの結婚相手とし
て、何の不足もないと思うけれど・・・」
つづく