きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒36


「とうちゃんは、いつも清太さんのこと
をほめているのに、なぜ反対するの?」
「きよ。わが家は旧家、しかも庄屋の家
柄。清太の家は、貧しい。家柄がちがい
すぎる」



「とうちゃん。家柄って、そんなに大事
なの?」
「家柄は大事だ。幼い時から、同じよう
な環境で育った人なら、結婚してもうま
くやっていける。でも、育った環境が違
うと、うまくやっていけないのだよ」



「とうちゃんは、家柄家柄というけれど、
私はたまたま長者の娘として生まれ、清
太さんは貧しい家に生まれたというだけ
のことではないの。とうちゃんは、私が
貧しい家の娘だったら、自分の息子とつ
きあうのを反対するの?」
長者は、何もいえませんでした。



きよは、心のやさしいきだての良い娘。そ
れにしっかりもの。たとえ家柄がちがって
も、息子の嫁になってほしいと思うだろう
なと、長者は思いました。


つづく