福寿草になった少女


福寿草になった少女11


「黄金色の花、黄金色の花。黄金色の花
がみたいなぁ」
そういいながら、福は細い急な道を、ど
んどん登って行きました。



やっと、守屋山につきました。
何かにとりつかれたように、福はあても
なく山の中を歩きまわりました。
黄金色の花といっても、どんな形をして
いるのか、どれくらいの大きさなのか、
福には何もわかりません。



春がきたといっても、山の春は遅く、木
の芽がほんの少しふくらんでいるだけで
す。
どこをさがしても、黄金色の花など、ひ
とつもありません。
枯葉が一面に落ちているだけでした。
福の足音と、鈴の音だけが、静かな山の
中にひびきわたります。


        つづく



童話「福寿草になった少女」は、守屋山の
明神様にまつわる、福寿草と少女の話。
信州諏訪の「風の神様」から聞いたお話。




童話「福寿草になった少女」は、みほようこ
の二冊目の童話集「竜神になった三郎」に収
録されています。



http://www.bk1.jp/product/02434727