女神さまとの約束


女神さまとの約束4


きがえをすませ、いろりのそばにすわ
った女の人をみて、ふくはびっくりし
ました。
女神さまのような美しい人だったから
です。
女の人は、やさしい笑みをうかべてい
ました。



「なんて美しい人だろう。なくなった
かあちゃんが、あちらの国から帰って
きたみたい」
ふくは、心の中でそっとつぶやきまし
た。
ふくは、あたたかな食事と風呂を用意
しました。



女の人はぐっすり休み、次の朝にはす
っかり元気になりました。
「いろいろお世話になりました。大切
なおかあさんの着物、おかりしていき
ますね」
女の人は何度も礼をいい、やしきをあ
とにしました。



「大雪の夜、あの人はどこへ行くつも
りだったのだろう」
ふくは、女の人のことが気になってし
かたがありません。


          つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう伝説があります。
「女神さまとの約束」は、「白駒の池」
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。