火とぼし山


    火とぼし山50


「きよちゃんが、魚。そんなばかな・・・」
そういって、次郎はだまってしまいま
した。
「今夜は、きよちゃんの話についてい
けないな」
次郎は、心の中でそうつぶやきました。



いくらきよちゃんが泳ぎが達者でも、
こんなに早く湖を泳いでくるなんて、
おかしい。どう考えても、変だ。



きよちゃんは、魚になったような気が
するといっていたが、魚になどなれる
はずはない。
きよちゃんには、湖に住んでいる魔物
がとりついているのではないだろうか。


              つづく



「おみわたり」で有名な信州の諏訪湖
には、「火とぼし山」という悲しい伝
説があります。


「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。