瑠璃寺の青獅子


  瑠璃寺の青獅子19


げっそりとやせた顔。
男は、ちゃんと食事をしているの
でしょうか。
和尚は、男が何日も食事をしてい
ないのではないかと思いました。



うす暗い小屋の中で、男の目だけ
が異様に光っています。
和尚は、男の変わりようにびっく
りしました。
声をかけることもできず、和尚は
小屋の外から男の様子をじっとみ
ていました。



「獅子よ。やっと完成したぞ。
後は、色をぬり、金箔をはるだけ
じゃ。そうそう、頭へ毛もつけな
くてはいけないのぅ。
どれ、太陽の下で、おまえの頭を
じっくりみてみよう」
そういって、男は立ちあがろうと
しました。



でも、なかなか立ちあがれません。
男は、体の具合でも悪いのでしょ
うか。


             つづく



「瑠璃寺の青獅子」は、信州高森
町の瑠璃寺に伝わっている話をヒ
ントにして、みほようこが書いた
物語。



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