白駒の池物語28
高原には、あちらこちらに、赤褐
色の花が咲いています。
「清太さん。これが、座禅草の花
なの」
「そうだよ、きよちゃん。おもし
ろい形をしているだろ」
「ほんと、おもしろい形をしてい
るね」
「座禅草の花は、小さなお堂の中
で、坊さんが座禅をくんでいるよ
うな花だといわれている」
「よくみると、そんな感じね。
あら、ここには、五つも花がかた
まって咲いている。
坊さんたちが、何か相談をしてい
るみたいね」
「きよちゃん。赤褐色の部分を、
何というか知っている?」
「知らないわ。何ていうの」
「ぶつえんほうというんだよ」
「ぶつえんほう?」
つづく
「白駒の池物語」は、信州佐久にあ
る「白駒の池」に伝わっている話を
ヒントにして、みほようこが書いた
物語。