有明山に住む鬼・八面大王10
「おらは、わなにかかっていた山
鳥を、逃がしてしまった。
わなをかけた人は、獲物がかかる
のを楽しみにしているにちがいない」
そう思った弥助は、買物をするた
めに持っていたお金を、全部わな
のそばにおきました。
「これで、今年最後の買物ができ
なくなってしまった。
このことを知ったら、おっかあは
何というだろうか」
がっかりしている母の顔が、目に
うかびました。
弥助は、とぼとぼと家にもどりま
した。
「おっかあ、ただいま」
「弥助、おかえり。もう帰ったの
かい。えらい早いけれど、どうか
したのかい」
しょんぼりしている弥助をみて、
さくが聞きました。
つづく
昨日の分はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090502#p1
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有明山に住む鬼・八面大王1