女神さまとの約束31
だから、岩場に残るということが
どういうことか、なにも考えてい
なかったの。
よく考えてみると、岩場に残ると
いうことは、とうちゃんとはなれ
ばなれにくらすということなのよ
・・・ね」
ふくは、さみしそうにいいました。
「女神さまとの約束は、守らなく
てはいけないけれど、とうちゃん
はふくがいないとさみしい」
長者も、さみしそうでした。
「私だって、とうちゃんといっし
ょに家に帰りたい。
でも、女神さまにとうちゃんを助
けてもらったのだから、さみしく
てもがまんしなくては・・・。
何年かたてば、家に帰れるかもし
れないしね」
「そうなると、いいが」
「とうちゃん。いつかきっと、家
に帰れると思うわ。
とうちゃんも、体に気をつけて、
元気でくらしてね」
つづく
昨日の分は、こちら
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091022#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090923#p1
「女神さまとの約束」は、信州の
佐久にある湖・白駒の池に伝わっ
ている話をヒントにして、みほ
ようこが書いた物語。