女神さまとの約束

[童話]女神さまとの約束


    女神さまとの約束 31


だから、岩場に残るということがどういうことか、なに
も考えていなかったの。よく考えてみると、岩場に残
るということは、とうちゃんとはなればなれにくらすと
いうことなのよ・・・ね」
ふくは、さみしそうにいいました。
「女神さまとの約束は、守らなくてはいけないけれど、
とうちゃんはふくがいないとさみしい」
長者も、さみしそうでした。


「私だって、とうちゃんといっしょに家に帰りたい。で
も、女神さまにとうちゃんを助けてもらったのだから、
さみしくてもがまんしなくては・・・。何年かたてば、家
に帰れるかもしれないしね」
「そうなると、いいが」
「とうちゃん。いつかきっと、家に帰れると思うわ。とう
ちゃんも、体に気をつけて、元気でくらしてね」
「ふくも、元気でくらすのだよ」


             つづく





童話「女神さまとの約束」は、みほようこの五冊目の
童話集「竜の姿をみた少女」に収録されています。

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