火とぼし山34
「娘よ。青年と会えない日には、
心の中で話をしなさい。
そうすれば、さみしくないぞ。
一ヶ月なんて、あっという間じゃ。
娘よ、元気をだしなさい」
明神さまは、心の中で娘に話しか
けました。
その夜。
「きよ。このごろ元気がないけれ
ど、どうしたんだい」
おとうさんが心配して聞きました。
「とうちゃん。なんでもないわ。
心配しないで」
「きよ。次郎君と、けんかでもした
のかい」
「とうちゃん。私たち、けんかは一
度もしたことはないわ。
次郎さんは、野良の仕事が忙しいの。
だから、会えないんだって」
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100412#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。