火とぼし山


    火とぼし山43


次郎さんが、その人を好きになっ
たらどうしよう。
私は、次郎さんに捨てられてしま
うのだろうか。
きよは、不安な気持で、毎日をす
ごしました



十日がすぎました。
明神さまは、いつものように、村
内のみまわりに行きました。
桑畑を通りかかると、若者が桑の
葉をつんでいました。



「どこの若者だろう」
若者の顔をみた明神さまは、あっ
と声をあげそうになりました。
きよの大好きな人、次郎だったか
らです。



その時。
「次郎さーん。私よー」
どこからか、女の人の声が聞こえ
てきました。


           つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100421#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。