火とぼし山46
すると、
「ねぇ、次郎さん。これからも私
と会ってくれる?」
「おらは、みよちゃんと会う気は
ない」
次郎が、ぶっきらぼうにいいました。
「なぜ? 次郎さん」
「おらには、小さな時からつきあっ
ている人がいる」
「誰なの?」
「そんなこと、知り合ったばかりの
みよちゃんにはいえない」
「次郎さんは、その人と結婚するの」
「まだ決めていない」
「じゃあ、私ともつきあって。
ね、いいでしょ。次郎さん」
二人の話を聞いていた明神さまは、
「やはり、こういうことだったのか」
と思いました。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100424#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。