ふしぎな鈴


   ふしぎな鈴17


ひとつきに何度となくくりかえ
される夜討ち、朝がけ、やあわ
せ、きりあい。
どっとおこるときの声、空をこ
がすのろし…。
戦はすざましいものでした。



「一日も早く、戦が終わります
ように。
どうかみんなが無事でありますよ
うに」
姫は、一族のことを、毎日神様に
お願いしました。



しかし、姫の祈りもむなしく、戦
のさなかに、夫をはじめ一族のほ
とんどが、城でうち死してしまっ
たのです。



姫は、城が見える南岸の森の陰へ、
仮家をつくり逃げていました。
そして、城が焼けおちるのを、対
岸のかくれ家で、くやしい思いで
みていたのです。

            つづく



    前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100629#p2



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100610#p1



「ふしぎな鈴」は、みほようこ
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。









リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。