ふしぎな鈴63
「リーン・リーン・コロンころん」
「リーン・リーン・コロンころん」
美しい鈴の音が、あたりにひびき
わたりました。
「古杉先生はね・・・ずっと昔、
小桜姫の・・・だった人よ。
二人がこの世で会えて、本当によか
ったね」
風が桃の花とおしゃべりしていま
した。
でも、二人の耳には、何も聞こえ
なかったのです。
その時、さわやかな風が、びゅーと
二人の間をとおりすぎていきました。
「かなー、十年後を楽しみにねー」
どこからか小桜姫さまの声が聞こえ
てきました。
その声は、やさしい温かな声でした。
おわり
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100814#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100610#p1
「ふしぎな鈴」は、みほようこの
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。
リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。