ふしぎな鈴59
かなはポケットの中から、鈴を
とりだしました。
その鈴をみた先生は、なつかし
い気がしました。
「桃の形の鈴、どこでみたのだ
ろうか」
しかし、どこでみたのか、先生
には思い出せませんでした。
「私はどこかでこの鈴をみたこ
とがある。
どこでみたのだろうか」
先生は、心の中で何度もつぶや
きました。
「リーン、リーン、コロンころん」
「リーン、リーン、コロンころん」
かなは、むじゃきに何度も鈴をふ
っています。
すると…。
先生の頭の中に、遠い昔のことが、
ぼんやりとうかんできたのです。
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100810#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100610#p1
「ふしぎな鈴」は、みほようこの
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。
リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。