ふしぎな鈴


ふしぎな鈴61


かなが鈴をわたすと、先生は鈴を
手にのせ、じっとみていました。
先生が鈴をなでた時、ふしぎなこ
とがおこりました。
鈴がぴかっぴかっと黄金色に輝き
だしたのです。



すると、先生の背中のリュックが、
鈴めがけてころんところがってき
ました。
そして、灰色のリュックも、ピカッ
ピカッ、キラッキラキラと、黄金
色に輝きだしたのです。



「なんて美しい鈴の音だろう。
私はこの桃の鈴をもっている少女
に会える日を、ずっと長い間、そ
う五百年近くじっと待っていたの
です。



やっと、探していた鈴と少女に会
うことができました。
私はとてもうれしい。
私はただの古いリュックではない
のです。

            つづく



    前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100812#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100610#p1



「ふしぎな鈴」は、みほようこ
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。









リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。