女神さまからのおくりもの21
「その場所はね、諏訪の神様が
住んでいる守屋山のふもとなんだ。
春になるとね、林の湿地に、座禅
草がかわいい芽をだすんだよ」
いつも無口な清太が、今日は一人
でしゃべっています。
「今日の清太さんは、別人みたい」
きよは、心の中でそっとつぶやき
ました。
「おじょうさまは、諏訪へ行った
ことがある?」
「あるわ。とうちゃんといっしょに、
御柱祭をみに行ったことがある。
御柱祭って、勇ましいお祭ね」
「そうだね。御柱祭は、七年に一度、
申年と寅年に行われる諏訪大社のお
祭だよ。
中でも、上社の川越しと、下社の木
落としは、すごいね。
山から切り出された十数トンもある
樅の木が、木遣りの歌を合図に、ず
ずずぅーと動く。
そして、おおぜいの人の手で、長い
時間をかけて、四つの神社まで運ば
れる」
つづく
前回の分はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20101020#p1
初めて読んでくださったかたへ