竜の姿をみた少女10
「知らないおじいさんだけれど、どこ
のひとかしら。別荘のかたかな」
かなは、そのひとのことを、みんなに
聞いてみました。
「私、白い着物をきたおじいさんなん
て、一度もみたことがないわ」
「ぼくも、みたことがない」
「私も」
「かなちゃん。この村には、長い杖を
ついたおじいさんなんて、一人もいな
いよ。どこのひとかな」
みんなそういいます。
「じゃあ、私だけ、あのおじいさんを
みているのかしら」
かなは、ふしぎに思いました。
八月末のある日。
むし暑い日でした。
かなは、湖のほとりで、またおじいさ
んに会いました。
「暑いのぅ」
そういいながら、おじいさんはかなの
横に腰をおろしました。
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20110811#p2
童話「竜の姿をみた少女」は、
みほようこの五冊目の童話集
「竜の姿をみた少女」に、収録
されています。
2009年12月、「鳥影社」
から、発行されました。
童話集「竜の姿をみた少女」は、
「しらかば湖」と「白駒池」を
訪ねた時に、信州諏訪の「風の
神様」から聞いた話。
風の神様からのおくりものシリ
ーズ5。
収録されている童話
・ 竜の姿をみた少女
・ 女神さまとの約束
裏表紙