竜の姿をみた少女


   竜の姿をみた少女13


「おじいさんは、なぜ兄さんたちにう
らぎられたの」
「兄たちは、わしにやきもちをやいた
のじゃ。わしの妻は、村一番の・・・いや
信州一の美しい人だった。
姿が美しいだけでなく、心の清いやさしい
人だった。その上、働き者だった。



妻は、朝から晩までよく働いてくれた。
料理も洗濯も掃除も、そうそう、はたおり
も上手だった。だから、兄たちは、わしが
うらやましかったのじゃろう」
「おじいさんは、兄さんたちにうらぎられ
た時、どうしたの」



「わしは、心から信じていた兄たちに、湖
の深いふちにつきおとされた。びっくりし
たけれど、わしは兄たちをうらんだり、に
くんだりすることができなかった。



『あんなひどいことをされたのに、おまえ
は少しも兄たちをにくんでおらぬ。なぜじゃ』、
わしを助けてくれた神様は、そういったけれ
どね」
おじいさんは、湖につきおとされた時の様子
を、話してくれました。


                つづく



    前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20110821#p2






童話「竜の姿をみた少女」は、
みほようこの五冊目の童話集
「竜の姿をみた少女」に、収録
されています。
2009年12月、「鳥影社」
から、発行されました。



童話集「竜の姿をみた少女」は、
「しらかば湖」と「白駒池」を
訪ねた時に、信州諏訪の「風の
神様」から聞いた話。
風の神様からのおくりものシリ
ーズ5。





   収録されている童話

  ・ 竜の姿をみた少女

  ・ 女神さまとの約束