竹取物語


阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 7


 かぎりなき思ひに焼けぬ皮衣

 袂かわきて今日こそは着め



安倍は、火鼠の皮衣を持って、か
ぐや姫の家へ行きました。
おじいさんが、皮衣を受け取り、
かぐや姫にみせました。



すると、かぐや姫が。
「立派な皮ですね。でも、これが
本物の火鼠の皮衣だという証拠
は、何もありません」



「姫。ともかく、あのかたを、家
の中へ入れてあげましょう。この
世では見ることができない皮衣だ
といっています。姫、本物だと思
いなさい。あのかたを、これ以上
困らせてはいけませんよ」


        つづく