竹取物語

[童話]竹取物語


   竹取物語 64


第五章 阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 13


「ああ、よかった。これで、安倍
さまと結婚しなくてもいい」
かぐや姫が、笑いながらいいま
した。
そして、安倍が詠んだ歌に返歌
をし、箱に入れて返しました。


  名残なく燃ゆと知りせば皮衣
  思ひのほかにおきて見ましを


安倍は、何もいえず家へ帰りま
した。
人々は、「安倍の大臣が、火鼠
の皮衣を持って、かぐや姫の家
に行ったというが、二人は結婚
したのか。大臣は、かぐや姫
家にいるのか」と聞きました。
 

      つづく