古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」


古事記神話「古事記物語」83


大国主命

沼河比売 9


すると、沼河比売が、家の中からこんな歌を
返しました。


八千矛神さま。私は、しおれた草のような女
です。
私の心は、ふらふら飛ぶ水鳥のようです。
今は、自分のことしか考えていない鳥ですが、
いずれはあなたの鳥になりましょう。
だから、鳥を殺さないでください。


緑の山に日が沈むと、真っ暗な夜がやってき
ます。
夜になったら、朝日のようにやってきて、白
い腕で私をやさしく抱いてください。
そして、私の手をしっかりにぎってください。
玉のような私の手を枕にして、足をのばしゆ
っくり休んでいただきましょう。
だから、むやみにこいこがれますな。
八千矛神へ。

 
        つづく