火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 3


第一章 次郎、西の村へ 1 


「次郎さん。みて、白鷺よ」
「白鷺?」
「ほら、あそこ」
きよが、諏訪湖の上空を指さしました。
白鷺が二羽、西山にむかって飛んでいます。


「白鷺って、美しい鳥だね」
「私、白鷺が大好き。次郎さんは、白鷺のよう
に空を飛べたらいいなって、思ったことない?」
「ないな」
「私は、あるわ。白鷺のように羽があれば、自
分が行きたい所へいつでも飛んで行けるもの」
きよが、白鷺をみていいました。


「次郎さん。諏訪湖の西といったら、何を思い
出す?」
「守屋山かな」
「私も」


         つづく