赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 51


「私は、権現城の城主・盛永の奥がた、お万で
ございます。昨夜、下条の夜討ちにあい、浪合
の実家へ帰る途中です。ことわりもなく、夕顔の
花をとったこと、どうかお許しくださいませ」
再び、お万は、おばあさんにわびました。


「何、権現城の奥がただと。あのたわけた城主の
妻か」
「おばあさん。口がすぎます。夕顔の花をとった
のは、奥がたではありません。このわしです。奥
がたには関係ありません」
そうべえが、おばあさんにいいました。


         つづく