赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 50


「申し訳ございません。ことわりもなく、夕顔の花
を一ついただきました。どうか失礼をお許しくだ
さいませ」
お万が、おばあさんにわびました。


「みかけない顔じゃが、どなたじゃ」
「私は・・・」
「奥がたさま。名前をなのってはいけません」
そうべえが、小声でいいました。
「何、この人が、奥がただと。どこの奥がたじゃ。
こんなうす汚いかっこうをして、奥がただなんて
聞いてあきれる。わしでさえ、そんな汚いかっこ
うはせんわ。奥がただなどと、たわけたことをい
うものではない」
おばあさんがはきすてるようにいいました。


        つづく