竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎


   竜神になった三郎 7


「兄弟は何人?」
「私、一人っ子なの。おじいさんと暮らしていたけれ
ど、おじいさんもこの春なくなってしまったわ。だか
ら今は一人っきり」
村の娘とちがい、娘のことばは上品でした。
二人とも初めて会ったのに、いつかどこかで会った
ことがあるような、とてもなつかしい気がしました。


「一週間後、もう一度ここであおう」
そう約束して、二人は別れました。
その日、三郎は軽い足取りで、家に帰りました。
何時間もかかる長いみちのりも、急な坂も、今日は
へっちゃらでした。
「三郎、今日はうれしそうな顔をしているが、町で何
か良いことがあったかや」
太郎が聞きました。
「いや、べつに」
三郎はぶっきらぼうに答えました。


     つづく





竜神になった三郎」は、みほようこの二冊目の
童話集「竜神になった三郎」に収録されています。


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現在 1540円です。