ふしぎな鈴 - みほようこの日記

　　　じいちゃんとばあちゃん　３

みていると、背中がぱかっとわれて、中からせみが
元気よくとびだしてきました。
生まれたばかりのせみは、うすい灰色がかった空色
をしています。

小さく縮れていたせみの羽が、時間がたつにつれ、
だんだんにのびてきます。
体の色も、うすい茶色に変わってきました。
そして最後には、こい茶色になりました。
二人は、羽が完全にのびきるまで、じっとみていま
した。

「じいちゃん…」
かなは胸がつまり、何もいえませんでした。
「かなもこのせみのように、おかあさんのおなかから、
生まれてきたのだよ」
おじいさんがぽつりといいました。

　　　　　　　　　つづく

「ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の童話
「ふしぎな鈴」に収録されています。

「ふしぎな鈴」の価格は、現在　１５４０円です。