朝顔のエスカレーター

[童話]朝顔エスカレーター


朝顔エスカレーター 4


沼へおにやんまや銀やんまを、とりにいったこと。
庭できあげはや黒あげはをとったことが、まるで昨日
のことのように、なつかしく思い出されました。
「やさしいとうちゃんだった。私はとうちゃんが大好き」
かなは、心の中で何度もつぶやきました。


おとうさんがなくなった夜。
「リーン・リーン・コロンころん」
「リーン・リーン・コロンころん」
誰が鈴をふっているのでしょうか。
どこからか、鈴の音が聞こえてきました。
真っ暗な部屋の中で、柱時計の上だけが、明るくきら
きらと輝いています。


             つづく