童話集「竜神になった三郎」


人は信じていた人に裏切られた時、どんな行動
をとるのでしょうか?



ほとんどの人が、怒り狂うのではないでしょうか。
そして、自分を裏切った人を憎むのでは・・・。
それが普通の人間だと思います。



でも、「竜神になった三郎」の主人公・三郎
は、心から信じていた二人の兄に、湖の中へつ
きおとされても、なぜか兄たちを憎んだり、怒り
狂ったりしません。



三郎は、幼い時から、二人の兄にかわいがっても
らっていました。 「あそこの兄弟は、ほんとう
に仲がよいのぅ」と、人々からうらやましがられ
るほど、三人は仲良しでした。




ところが・・・。
三郎が、美人で心の優しい嫁をもらったことで、
二人の兄たちがやきもちをやきました。
そして、幸せいっぱいの三郎を、ぎゃふんといわ
せようと、二人の兄たちは相談します。
あんなに仲のよかった兄弟なのに・・・。
そして、とうとう、兄たちは三郎を湖の中へつき
落としてしまったのです。



でも・・・なぜか三郎は、ひどいことをした二人
の兄たちをにくむことができませんでした・・・。



童話集「竜神になった三郎」の中のことばより


「わしは地の国の神じゃ。本当にひどい目にあっ
たのぅ。しかし、おまえはあんなひどい目にあっ
ても、兄たちを少しもにくんでおらぬ。 なぜ
じゃ。 なぜおまえは兄たちをにくまないのじゃ」
神様は、三郎にたずねました。



私は、こんな人の良い、神様のような三郎を書き
ました。



そんな時、私は「横断歩道」を歩いていて、外人
のかたの車にはねられました。 スピード違反で
しかもわきみ運転の車でした。 幸い、ぶつかる
寸前に気がついてくれたので、私は死なずにすみ
ました。
そして、鎖骨と肋骨・足の骨折だけですみました。
二年たった今も、まだ足や肩が痛い状態です。




その事故にあった時、私は神様から「おまえはあ
んな人の良い三郎を書いたが、こんなひどい目に
あっても、おまえは相手を許すことができるのか」
と、問われたような気がしました。




私も、三郎と同じように、あんなひどいことをさ
れたのに、なぜかその人を憎むことはできません
でした。
「こんなに痛いのに・・・」
そう思いましたが、私はなぜかその人を憎むこと
も、怒り狂うこともできませんでした。



童話集「竜神になった三郎」は、私にとって忘れ
ることのできない本となってしまいました。



竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)



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