「ふしぎな鈴」小桜姫とふしぎな鈴の章

初めてのかたは、このページを先に読んでく
ださいね。

  小桜姫とふしぎな鈴

http://www.geocities.jp/dowakan/husigikozakura1.html


       つづき

http://d.hatena.ne.jp/youko510/20060306#p1



今日は、もう少しつづきを紹介します。



姫が二十才になった春のことです。
「姫、義意はわしがほれた男じゃ。
この人なら、姫を幸せにしてくれるだろう。姫、
義意の所へとつぎなさい」
おとうさんは姫にいいました。
義意も姫を大変気に入ってくれました。



そして、姫は荒井の城主三浦義同の息子・義意の
所へ嫁ぎました。
その時、義意はニ十五才。
みるからにたくましい、色黒の大柄な人でした。
大江家の一人娘が、なぜ三浦家へとついだのかっ
て、不思議に思うでしょうね。
おとうさんは姫にこどもが生まれたら、一人大江
家のあととりにするつもりだったようです。
しかし、仲の良い夫婦でしたが、何年たっても、
こどもは授かりませんでした。



その頃、三浦一族は、小田原の北条氏と、土地を
めぐる争いをしていました。
「くだらない争いをやめ、みんな仲良くくらせば
良いのに」
争いごとが嫌いな姫は、みんなが平和に暮らせる
ことを願っていました。


ところが、ある日、姫がおそれていた大きな戦が
始まりました。それは三年にもわたる、長いきび
しい戦でした。
ひとつきに何度となくくりかえされる夜討ち、朝
がけ、やあわせ、きりあい。どっとおこるときの
声、空をこがすのろし・・・。
戦はすざましいものでした。



「一日も早く、戦が終わりますように。どうかみ
んなが無事でありますように」
姫は、一族のことを、毎日神様にお願いしました。
しかし、姫の祈りもむなしく、戦の最中に夫をはじ
め一族のほとんどが、城でうち死してしまったので
す。姫は浜諸磯の先端の森の陰へ、仮家をつくり逃
げていました。そして、城が焼けおちるのを、対岸
のかくれ家で、悔しい思いでみていたのです。



「くやしい、くやしい・・・。なんとしても、にく
き北条をほろぼしたい」
心の優しい姫でしたが、三浦一族をほろぼした北条
を、姫はどうしても許すことができませんでした。
こうして鎌倉時代から続いた豪族三浦一族は、北条
早雲によって滅ぼされてしまったのです。




一年後。
姫は重い病気にかかり、三十四才の若さで、この世
を去りました。
なくなる少し前、姫はぼだい寺の和尚に、大切にし
ていた二つの鈴を預けました。
「私もじきに死ぬだろう。でもいつかこの世に再び
生まれてきたい。生まれ変わって、大好きな父や母、
夫とともに、もう一度この世で暮らしたい」
姫はこの世に生まれてくることを、強く望みました。



ある夜、姫は夢をみました。


        つづく



ふしぎな鈴は、みほようこの三冊目の本。
昨年九月、http://www.choeisha.com/
から、発行されました。



http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu3.html



ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)