明神さまの姿をみた少女


     明神さまの姿をみた少女4


「この小鹿は、明神さまのおつかいをしている
小鹿ではないかしら」
少女はなぜかそう思いました。
小鹿は「こっちへおいで。こっちですよ」とい
うように、つぶらなひとみで少女をみつめ、ど
こかへさそっているようなしぐさをしました。



少女は何かにさそわれるように、小鹿の後をつ
いていきました。小鹿は時々たちどまり、後を
ふりかえっています。
どこまでも続くすすきの原を、少女は小鹿の後
をついて、足早に歩きました。



どのくらい歩いたのでしょうか。
少女には、長い時間歩いたような気がしました。
少女は小鹿に案内されて、丘の上にある小さな
ほら穴の中へ入っていきました。
穴の中に入ってみると、中には広い部屋があり
ました。


         つづく


童話「明神さまの姿をみた少女」は、みほようこ
の初めての童話集・「風の神様からのおくりもの」
に収録されています。




風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話