童話「ライオンめざめる」


童話「ライオンめざめる」2


そして、そんな日がくるのを、おとうさんは楽しみに
して待っていたのです。
「かな、とてもよくにあうよ。ロケットを大切にする
のだよ」
おとうさんは、にっこりしながらいいました。



何ヶ月か過ぎました。
ある夏の夜のことでした。
「うーん・・・うーん・・・」
どこからか、うなり声が聞こえてきます。
「誰かしら?」
かなは、声のする方へ行ってみました。



すると・・・。
うなり声は、ライオンのロケットが入れてある机の方
から聞こえてきました。
「まさか・・・?」
そう思ったかなは、自分の部屋へもどりました。
「うーん・・・うーん・・・」
しばらくすると、またうなり声が聞こえてきます。



うなり声が気になったかなは、ライオンのロケットを
手にのせて、じっとみていました。
「金でできているライオンが、うなるはずはないし・・
ね」
かなは、そっとつぶやきました。
でも・・・、耳をすませて聞いていると、うなり声は
たしかにこのロケットの中から聞こえてきます。



しばらくすると、
「い・・た・・いよぉ。・・・いたいよ・・・」
こんな声も聞こえてきました。


                    つづく



童話「ライオンめざめる」は、みほようこの四冊目
の童話集・「ライオンめざめる」に収録されます。
童話集「ライオンめざめる」は、今月末(九月末)に
http://www.choeisha.com/
から、発行される予定です。



     収録される童話


  ・ ライオンめざめる

  ・ 笛の音よ、永久にひびけ

  ・ かきつばたになった少女